研究肌リーダー鈴木課長のチームビルド成功への道のり No.2

鈴木課長は、外部企業でキャリアを積んだ転職組として期待のマネージャーでした。

私と鈴木課長との出会いは、私がその会社で登壇していたとあるセミナーからでした

私は2週に一度そちらの会社にお邪魔し、1回3時間程度の講義を年間24回というスケジュールで行っておりました。

初回の講義の後、全員が帰られ誰もいなくなったセミナールームにこっそりいらしていただき、ご自身のお悩みをお話いただいたのが初めての出会いです。

前回は、マネジメント職への不満やチームメンバーとの軋轢に悩んでいらっしゃるということを、小一時間お話していただき ぜひメンバーの話をしっかりと聴いてみたいと仰って元気に帰って行かれました。

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詳しくは7月1日 ブログをお読みくださいませ

http://u0u1.net/oofw

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あれから2週間、どうなってるかなぁと思いながらも、私の講義は1月に同じ内容を2回行い、AクラスBクラスと別れ講義を行っています。そのため、Aクラスの鈴木課長と再びお会いするのは1月後・・・。少し気にかかりながらも今日はBクラスの講義を無事に終えることが出来ました。Bクラスは20代30代の若い方が多く、Aクラスに比べてワイワイガヤガヤと、とても活気あふれる講義となりました。

活気のある講義は私も大好きです。講師もとても楽しい気持ちになります。

講義も無事終了を迎え、終了後も沢山の質問が飛び交い、ホワイトボードの周りに沢山の若手社員さんが集まりました。

粗方質問に答え終わる頃を見計らって、受講生さんの一人が私の方へ静々とやってきました。そして、

「寺田さんちょっといいですか?」

遠慮がちに私に話しかけていらっしゃいました。

「もちろんです。どうしました?」

私がそういうと、その方が世間話を始められました。

「商品開発部の佐藤です。今日はありがとうございました。ここ最近 部内でちょっと変わったことがあり、それって今日習ったことと通じているのかなぁと思いまして。

今日のお話の中で【傾聴】というお話が出ていたかと思うのですが、ここ最近部署の課長がすごくいろいろ聞いてくるんです。仕事に対する想いとか、大切にしているものとかなどなどです。忙しいのにこう言ったら何だけど、少しうざったいなぁと思うのですが、それって、この講義の影響なんでしょうか?

いや、寺田さんの講義はとても勉強になったのですが、正直 なんと言いますか…。

上司の突然の変容振りについていけないって言うのかなぁ・・・。何とも言えないのですけどすいません」

最後はお茶を濁すようにその方は、口を閉ざしました。私の中で、あぁこれは鈴木課長の部下の方だなと直感しましたが、あえて訊かないことにし、話を詳しく聴いてみることにしました。

「そうだったんですね。もし良かったらお座りになって話しませんか?少しだけホワイトボードを片付けてその後でも良いでしょうか?」

そう声をかけました。すると佐藤さんは

「あっすいません・・・。いいんですか?」

と遠慮というよりは、長くなったら嫌だなぁ・・・・。こんな展開になるとは・・・。ちょっと後悔とでも言わんばかりの表情を浮かべながらも承諾してくださいました。

私もお礼を言い、

「急いで片付けますので、お好きな椅子を一つお持ちになって、どこでも構いませんのでお座りになってお待ちいただけますか?

と声をかけました。

佐藤さんはセミナールームのドアから一番遠い位置にご自身の椅子を置き、今日のノートを整理されておられました。

5分ほどで急いで片づけをし、佐藤さんのもとへ自分で椅子を一つ持っていき、このようにお声がけします

「お待たせしました。佐藤さんが話やすい位置に椅子を置きたいと思うのですが、どこが良いですか?

突然、そんなことを訊かれて ちょっと戸惑ったという雰囲気でしたが、「じゃぁこちらで」と指示された部分に椅子を置いて静かに腰を掛けました。

「それでは、早速 先ほどのお話の続きを少しお聞かせいただけますか?」

そう言って、私は気持ち状態を前に倒し、じっくりと佐藤さんのお話をお聞きすることとしました。

「はい。実はうちの課長が最近一人づつ呼び出して、根掘り葉掘りと聞くんですよ。今抱えている仕事の課題や、今後のビジョンとかなんとかを・・・。

これがあまり評判が良くないんです。突然 会議室に呼び出されて変な話を始めたと噂になっていまして。ただでさえ忙しいのに 何始めてくれちゃってんだと・・・。思いました。これって寺田さんの講義の影響でしょうか?

あっ!すいません。言葉が過ぎました!いや、講義自体はとても勉強になったのですがすいません」

ついいろいろ思っていらしたことを話したくなってしまったのでしょう。佐藤さんはご自身がどう見られているのか?と突然我に返ったようにお話を区切りました。

「いえいえ。大丈夫ですよ。もうセミナールームには誰もいませんし、これだけ扉から遠ければ声も聞こえないでしょうし、ましてや私は誰にもお伝えしませんので、安心してください。それに何より、誰だって、もちろん私だってそう思うことはありますので、佐藤さんのお気持ちよく理解できますどうぞ続けてください」

少し安心したような表情を浮かべ、佐藤さんは話を進めました。

「もちろん、いつも人一倍頑張っている課長のことを認めていないわけではないです。むしろ尊敬もしています。でも兎角コミュニケーションについては・・・。うーんという感じでして・・・。いい人なんですけど。

部下のメンバーの中では僕が一番社歴も長いですし、課長との付き合いも長いですから、上手に調整しないといけないと思うのですがどうしたら良いものかと思っています。」

「そうでしたか、いろいろご苦労もなさっていらっしゃるんですね。」

「苦労というか、何とかしてあげたいと思う気持ちもあるんですが、自分もそういう課長の態度にイライラしてしまう所もありまして・・・。どうしたもんですかね」

私は、佐藤さんが私の所にいらっしゃったのは、本当ははこれが話したかったんだなぁと確信し、確認のために問いかけました

佐藤さん、私がお話をお伺いしていて感じたことをお話しても良いですか?

このようにお伺いすると佐藤さんは、「えぇもちろんです。」と小さくうなずいてくださいました。そこで私は次のように続けました。

「佐藤さんが私にお声がけいただいた本当の理由は、課長とメンバーを上手に取り持ってあげたいのだけれども、ご自身でもどうしたら良いか分からないというお話のように聴こえたのですが、合っていますか?これはあくまで私の見解ですので、違ったらぜひ言ってくださいね

すると今度は大きくうなずき

「ぇぇそうなんです!まぁ100%そんな高尚な感じではないですが、何かしてあげたいような気持もあります。」

とお返事をして下さいました。

「そうでしたか。それではもう少しお話続けていただけますか?

「はい。課長は研究者出身なので、とても真面目な方です。普段から話しかけないでくれオーラを放ちながら一人で黙々と仕事しています。そんな課長のことをみんなは少し敬遠しているように感じます。原因はなにより話を聴いてくれないし、分からないことなどあっても話しかけると怖い顔をするので、話しかけづらいので、出来る限り自分でやるしかないと思っているのだけど、失敗すると小さくため息をつかれたりすると、もうみんな聞きたくなくなっちゃうという感じです。」

「そうでしたか。それは辛いですね。それから?

私は、佐藤さんの横に座り同じ景色を見ているような感覚を感じながらそっと息遣いを合わせました
かれこれ30分ほど佐藤さんはお話した後、ふうぅっと長い息を吐きながらこのようにお話されました。

「もしかしたら本人も気が付いているんだろうなぁ・・・。だから突然呼び出して突然コミュニケーションをとりたくなったのかな。課長もいろいろ苦労してるんだなぁ・・・」

「そうでしたか。それはあるかもしれませんねぇ」

私も少し長めにゆっくりと相槌を打つようにそう言いましたそして、このように質問しました。

「ところで、佐藤さんは本当だったらチームがどんな状態だったら気持ちよく成果を上げられるチームになりそうだと思いますか?

再び佐藤さんはゆっくりと左上に視線を動かしながら

そうですねぇと返事をし、うーんと言いながら沈黙しました。

そして7秒ほどの沈黙の後、ゆっくりと話し始めました

「課長の研究についての知見は深く、本当に勉強になることばかりでもっと聞かせてほしいなぁと思っています。だから一人で業務を抱えるのではなく、仕事を部下に上手に振っていただき、オーバーワークになりすぎずにもう少しみんなを見てくれたら嬉しいなぁと思っています。

本当はみんな課長から学ぶことは多いと思うんです」

そうお話された佐藤さんの顔に、最初にいらした時のいぶかし気な雰囲気はなくなっていました。

私は更に相槌を打ちました

「そうですか。それは素晴らしい課長をお持ちでいらっしゃいますね。」

するとそうとも言い切れないという顔をしながらも少し照れくさそうに佐藤さんは小さく頷きながら続けました。

「うーん。。。そうかも知れませんね。だから自分はそんな課長とみんなの通訳の係を引き受けてあげたいなぁと思っています。」

佐藤さんは顔を真っすぐ上げて私にこう言ってくださいました。

私も後押しするように、

「そうでしたか、それはとても良いことですねぇ。

佐藤さんでしたら、一番課長と長くお付き合いしているということでしたし、他のメンバーの方との調整係としての力を発揮しそうですね。

ところで具体的にもう既に思いつく行動って何かありますか?」

私は最後に今日の素晴らしい対話をチームの力に変えてほしいという想いを込めて、一つだけ行動を出していただくこととしました。

すると佐藤さんはうーんとそうですねぇと少し考え

「まずは自分も課長にもう少し歩み寄るためにもランチに誘ってみます」

そう明るい声でお話してくださいました。

「いいですね!ぜひまたご報告してください」

と私の方からお話すると佐藤さんは元気にセミナールームからお帰りになりました。鈴木課長のチームのチームワークがよくなるには日進月歩のようです。

しかし、確実に鈴木課長が行った行動が周りにも水の波紋を広げているのだと思いました。

今日のお話はこのあたりにいたしましょう

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→さて、聴くという作業は鈴木課長も私も同じでしたが、私が話の真因に達することが出来たのは、何故でしょうか?

ヒントは赤字の部分です。またこれについては次回解説いたします

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